5歳児健診ポータル

supported by こども家庭庁

小児科医の「得意」を活かしながら、地域の資源を最大限に活用

秋田県大仙市

秋田県大仙市

伊藤 晴通

秋田県大仙市で実施されている5歳児健診を取材しました。

秋田の5歳児健診実施の現在地

秋田県には25の市町村自治体があり、現在7つの市町で5歳児健診が行われています。さらに5市町村では令和7年度ないし8年度からの開始を目指して準備中です。

現在の時点で開始の予定のない13市町村のうちの11市町村では、5歳児相談会が以前から行われています。小児科医の参加と経過観察となった幼児の事後措置については課題があり、丁寧に取り組んでいます。特に地域によっては医療資源の配分に差があり、個々の小児科医の尽力により支えられている状況です。

さらに小児科医の間でも、従来型乳幼児健診には習熟しているものの、発達の診察には慣れておらず自信が無いと言う声が聞かれます。

小児科医の得意な「総合的健診」として実施

そのため我々の市では、5歳児健診もこれまで通り小児科医の得意な総合的健診として行うことを前提としました。これまでの健診でも、発達に課題を持つ乳幼児の発見に小児科医は十分に貢献してきたと考えており、今後も発達の診察に習熟した医師が継続的に経過を見守り、必要に応じて専門機関に紹介することで、その役割を補っていく方針です。

さらに、今後の研修によって診療能力の高い小児科医を増やし、地域の小児科医が発達を診ることに慣れていくことで、地域全体としての総合的な対応力も向上していくものと考えています。

養育者と子どもの愛着形成支援

加えて、地域の資源を最大限に活用し、薬物療法以前の取り組みをさらに充実させることが最も大切であると考えています。発達障がいの理解には養育者との関係臨床の視点が絶対的に必要です。それはすなわち、養育者と子どもの愛着形成支援が何より重要であるという考え方で、当に今話題になっているBiopsychosocialな視点でもあります。

発達に課題を持つ幼児がいる家族は複合的な支援ニーズを抱えていることも多く、そのためには家族を包括的に支援する体制が構築される事が重要と思われます。小児科医ばかりでなく地域全体の対応力を総合的に向上させることが今後の目標です。

健診においても、また一般診療においても、一人一人にかける時間の充実が望ましいと考えられます。診療時間の確保と医療提供体制の持続可能性の両立に向けた取り組みが進むことを期待しています。

このサイトの運営者

本サイトは、令和6年度こども家庭科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業「こどもの健やかな成長・発達のためのバイオサイコソーシャルの観点(身体的・精神的・社会的な観点)からの切れ目のない支援の推進のための研究」により制作されました。

研究代表者:永光 信一郎(福岡大学医学部小児科 主任教授)

Eメール:snagamit@fukuoka-u.ac.jp