5歳児健診ポータル

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東かがわ市で子育てが出来て本当に良かったです

香川県東かがわ市

香川県小児科医会 会長

宮崎 雅仁

東かがわ市では、5歳児健診マニュアルの「地域のフォローアップ体制における保健・医療・福祉・教育の連携の具体例」に記させていただいたように、20年近く前から5歳児健診を実施しています。

令和7年度からは、現在使用している別事業の補助金に代わって、母子保健衛生費国庫補助金を活用させていただくことが決定しています。

東かがわ市の歩みをご紹介させていただきます。

法律施行前の壁と5歳児健診実施に向けた熱意

東かがわ市では平成17年4月の発達障害児者支援法の施行に基づき、同年より市内3カ所に限定したモデル5歳児健診、そして翌18年度からは完全巡回・訪問型の悉皆健診を開始しました。

実施までの若干の苦労話をお伝えします。

実は香川県での5歳児健診実施の動きは発達障害児者支援法の施行前より模索されており、東かがわ市だけでなく県の担当部局にも働きかけを試みていました。

香川県庁や東かがわ市役所では熱心に耳を傾けて頂けましたが、法律施行前と言うこともありその反応は多種多様でした。東かがわ市の関係部署内の議論でも、5歳児健診に対して効果を疑問視する意見も認められましたが、当時の担当課の強いリーダーシップの下に実施の方向にまとめ上げられました。

新たな事業を展開するには、関係者への十分な説明と事業に対する理解者を諦めずに増やしていくことが必要、と感じたことを記憶しています。

保護者、保育者に寄り添う健診計画

東かがわ市での5歳児健診の実施に向けて、十分に保護者や保育者の納得と共感が得られるよう1年間の準備期間をおいて実施されました。

具体的なスケジュールは、以下の通りです。

①第1・2回関係者・担当者打ち合わせ会(平成17年4月15日/5月16日)
②市内全域の幼稚園・保育園職員対象の発達支援研修会(同年6月22日)
③市内全域の保護者対象の発達支援研修会(同年8月24日)
④市内3ヵ所でのモデル健診対象幼稚園・保護者への説明会(同年9月5日~10月14日)
⑤市内3か所でのモデル健診の実施(同年9月28日~10月26日)
⑥市内全域での5歳児健診(完全巡回・訪問型)を実施(平成18年7月12日~)

また、5歳児健診の実効性を高めるためには健診当日や直前・事後対応システムの構築だけの点で捉えるのではなく、広い面で捉える必要があると感じています。例えば、地域の住民に向けた発達障害の啓発や乳幼児へのファーストタッチを担うこども園・保育園・幼稚園等の職員の研修会等による対応力向上、健診担当医の実技研修の実施等です。

今回、母子保健医療対策総合支援事業で5歳児健診が全国に展開されることが期待されています。
東かがわ市の歩みを参考に、多くの自治体で5歳児健診が始まることを望んでいます。

5歳児健診の未来と保護者の声

最後に、前述のとおり当市では20年前より悉皆健診を実施しております。住民に広く受け入れられ、既に最初に健診を受けた方が25歳となり、その方たちがお子さんを連れて健診に訪れる時期になっています。

先日、東かがわ市の市民公開講座である同市発達フォーラムの事後アンケートに保護者が記載した一文を紹介します。

「5歳児健診が全国的には実施されていないことを初めて知りました。東かがわ市で子育てが出来て本当に良かったです。」

このサイトの運営者

本サイトは、令和6年度こども家庭科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業「こどもの健やかな成長・発達のためのバイオサイコソーシャルの観点(身体的・精神的・社会的な観点)からの切れ目のない支援の推進のための研究」により制作されました。

研究代表者:永光 信一郎(福岡大学医学部小児科 主任教授)

Eメール:snagamit@fukuoka-u.ac.jp