作業療法士・理学療法士が活躍する種子島の5歳児健診
鹿児島県種子島
福岡大学医学部小児科 主任教授
永光 信一郎
種子島(鹿児島県)は、西之表市(人口約13,000人)、中種子町(約6,500人)、南種子町(約5,000人)の3つの自治体からなる離島で、近年は出生数の減少が顕著な地域です。一方で、「宇宙留学」や「うみがめ留学」(山村留学の通称)により、県外から短期間移住してくるこども達の姿も見られます。1543年(天文12年)にはポルトガル人によって火縄銃が伝えられ、後の戦国時代の戦い方に影響を与えたとされる歴史を持つほか、現在はロケット発射場を備えたJAXAの拠点としても知られています。少子化が進むこの島では、廃校になった中学校の校舎が、児童発達支援センターとして活用されていました。
理学療法士が着目した、こどもの「姿勢」
種子島にある3つの自治体では、いずれも5歳児健診が実施されています。視察した中種子町での5歳児健診は年に6回、1回あたり5〜10名ほどが受診します。心理職は不在ですが、理学療法士(PT: Physical therapist)が健診に参画しており、外遊びが少なくなったこども達の姿勢に着目されていました。保健センターの待合室でこども達と四つ這いになって駆け回り、運動の大切さを指導されていました。小学校に入ると長時間の着席を求められるため、この時期から正しい姿勢保持を学ぶことは大切だと話していました。
作業療法は「手先の支援」ではない
西之表市では、作業療法士(OT: Occupational therapist)の方と意見交換をする機会がありました。5歳児健診でのOTの役割というと、こどもの粗大運動・微細運動(片足立ち、ジャンプ、ボール投げ、ハサミの使い方、鉛筆の持ち方など手指の不器用さ)の評価・指導が主だと、取材前は考えていました。しかしOTの方によると、Occupational therapy(作業療法)は手作業を始めとする作業の一側面の支援と思われがちだが、本来は食事、着替え、排泄、就労、勉強、金銭管理、睡眠、そして遊び(スポーツやゲームなど)といった、人間の生活全般の活動を支援するものだとのことでした。
医療・福祉・教育・保健をつなぐ「種子島四葉の会」
種子島出身の小児科医が30年ぶりに帰島し、2017年に「種子島四葉の会」を設立しました。四葉とは、「医療」「福祉」「教育」「保健」を指し、関係者が集まり、地域全体でこどもの育ちや発達障害児支援などを継続的に話し合い、学ぶためのネットワーク組織です。それぞれの地域にしっかりと根を張り、こども達に幸せをもたらす「四葉(のクローバー)」が、各自治体にもきっとあるはずと思いました。