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二段階方式と集団健診との効果比較について

「全5歳児を対象に医師が診察する健診」と「事前のスクリーニング等により発達等に課題があると考えられた5歳児を対象に医師が診察する健診」との効果の比較やこれらの健診に関するエビデンスの収集等について、本ページで解説します。

(以下、全5歳児を対象に医師が診察する健診を“集団健診”、事前のスクリーニング等により発達等に課題があると考えられた5歳児を対象に医師が診察する健診を“二段階方式”と呼称します。)

令和7年度こども家庭科学研究費補助金成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業(こどもの健やかな成長・発達のためのバイオサイコソーシャルの観点(身体的・精神的・社会的な観点)からの切れ目のない支援の推進のための研究(研究代表者 永光信一郎)による調査において、二段階方式についても、集団健診と同様の効果を持つ場合があることが確認されました。なお、本研究は、異なる健診方式の効果を比較する探索的な横断研究として実施しています。 

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令和6年度に抽出した138の自治体を対象にアンケート調査※を実施し、集団健診と二段階方式において、健診に関わる職種、提供する専門相談、健診後の各種機関との連携(以降、フォローアップ体制という。)を比較した(表1,2,3)。解析結果から、就学に向けた教育相談の体制構築については、二段階方式実施自治体でより高い実施率が示された(表2)。また、二段階方式においても、集団健診に近い割合で療育・医療機関への紹介が実施されていた。(表3)。

※研究者の自治体とのネットワークを通じて、138の自治体(うち127は集団健診、11は二段階方式)に対して実施。本比較は記述統計による探索的分析であり、両群間に大きなサンプルサイズの差があること、統計的検定を実施していないことから、結果の解釈には注意を要する。

表1 :5歳児健診に関わる職種の割合
集団健診 (n=127) 二段階方式 (n=11)
小児科医以外の医師 15.7% 18.2%
保育士 58.3% 81.8%
言語聴覚士 15.7% 45.5%
作業療法士 7.1% 36.4%
心理職 57.5% 81.8%
教育委員会スタッフ 34.6% 72.7%
栄養士 78.0% 18.2%
看護師 58.3% 18.2%
表2 :5歳児健診で実施している専門相談の実施率
集団健診 (n=127) 二段階方式 (n=11)
子育て相談 81.9% 81.8%
栄養相談 75.6% 27.3%
療育相談 37.8% 54.5%
心理発達相談 69.3% 72.7%
教育相談 33.9% 81.8%
表3 :5歳児健診後のフォローアップ体制の割合
集団健診 (n=127) 二段階方式 (n=11)
医療機関紹介 55.1% 63.6%
療育機関紹介 63.8% 81.8%
教育機関紹介 13.4% 18.2%
保育所等との情報共有 91.3% 81.8%
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また、自治体における健診後のフォローアップ体制の詳細を把握するために、7市町において、要経過観察率、要支援率、支援実施率、医療紹介率を調査※したところ、二段階方式においても、集団健診と同等の範囲内であった。

※上記138自治体のうち、 研究班が把握している先進的な取り組みを実施している自治体から、詳細なフォローアップ体制調査への協力が得られた7市町(うち3市が集団健診、3市1町が二段階方式)に対して実施。

  • 要経過観察率:医師診察または問診による一次スクリーニングで要観察となった率
  • 要支援率:専門相談、健診後カンファレンスを通して、支援が必要と判断された率
  • 支援実施率:保護者が支援を受け入れた率
  • 医療紹介率:医療機関に紹介となった率
表4 :5歳児健診で実施している専門相談の割合
集団健診 (3市) 二段階方式 (3市1町)
要経過観察率 26.4〜44.2% 16.2〜51.1%
要支援率 12.4〜33.5% 6.6〜30.6%
支援実施率 5.7〜15.7% 1.3〜25.5%
医療紹介率 1.4〜7.0% 0.9〜5.1%
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さらに、保育所等へのアンケート調査※において、発達支援やフォローが必要な園児の率、発達支援やフォローを受けている率、医療機関につながっている率は、二段階方式においても、集団健診と同程度であった。

※上記138自治体のうち、研究班が把握している先進的な取り組みを実施している自治体から、調査協力が得られた4市における157か所の保育所等(うち94か所(3市に所在)が集団健診、63か所(1市に所在)が二段階方式)に対して実施。

表5 :保育所アンケート
集団健診 (保育所数=94) 二段階方式 (保育所数=63)
保育所等の中で、発達の支援やフォローが必要と思われる園児の率(中央値) 14.2% 9.5%
上記の中で、発達の支援やフォローを受けている園児の率(中央値) 58.0% 67.0%
上記の中で、医療機関につながっている園児の率(中央値) 20.0% 16.0%
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以上の3つの調査では、対象とした自治体の特徴や、集団健診及び二段階方式の調査対象数の差等に起因する影響は考慮していない生データの解析であるものの、実施方法によっては、二段階方式でも集団健診と同様の効果が得られる場合があることが示唆されました。

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本サイトは、令和6年度こども家庭科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業「こどもの健やかな成長・発達のためのバイオサイコソーシャルの観点(身体的・精神的・社会的な観点)からの切れ目のない支援の推進のための研究」により制作されました。

研究代表者:永光 信一郎(福岡大学医学部小児科 主任教授)

Eメール:snagamit@fukuoka-u.ac.jp